みなさんは、「オビ」とか「オビディエンス」とかいう言葉を聞いたことがあると思います。日本語では「服従訓練」といって、犬に関わる職業の方は当然知っている単語ですよね。警察犬の服従訓練競技会やオビディエンスをドッグスポーツにしたオビディエンス大会もあちこちで開催されているので、参加された方もいらっしゃると思います。ヨーロッパではドッグスポーツとして、とても盛んに行われているそうです。
厳しいイメージのあるオビディエンストレーニングですが、一般の飼い主と飼い犬にとって重要なトレーニングなのでしょうか?
「適切なトレーニング」は、犬を飼うために重要なことだと考えます。トレーニングは、犬に自信をつけ、精神的な刺激を与え、人との絆を強めることを助けます。
特に、不安や臆病な性格の犬は、トレーニングによって達成感を得て、人とのコミュニケーションをとる方法を知り、人との絆を強めることができるのではないかと考えます。
精神的な刺激は、犬に良いストレスを与えます。ストレスというとネガティブイメージかもしれませんが、犬の精神的な成長にとって、良いストレスは散歩と同じくらい大切なことと考えます。この季節、屋外がとても暑かったり、雨や風が激しい時は、屋内で基本的なトレーニングスキルを習得することが、犬の退屈を解消し必要な運動になる可能性もあります。また、去勢手術等で屋外での運動に制限がかかっている場合などにも、有効と考えます。
犬は、刺激がなかったり暇な状態が続くと、私たちが考える「悪い行動」を起こすことがありますよね。例えば、物を噛んだり、掘ったり、吠え続けたりなどなど。特にお留守番時などにこれらの行動について、学習してしまうことがあります。もし、靴ではなく、おもちゃを噛むように教えられていれば、きっと、犬はおもちゃを探すようになります。
オビディエンストレーニングは、犬のトレーニングと思われがちですが、実際には飼い主の犬の扱い方(意思疎通やスキンシップ)のトレーニングです。トレーニングの好ましい方法は、正の強化です(positive reinforcement)。「正しいこと」をしたことに対して犬に報酬を与えることから成り立ちます。楽しいのは、正しいことを教える過程にあります。例えば、犬にフセを教えたるとします。なかなか犬はフセをしてくれません。どうやったら犬にフセを理解してもらえるのかを無理矢理ではなく、飼い主の創意工夫で教えていって成功した時がとても楽しいのです。犬も楽しそうです。
競技会では、厳しいトレーニングによるオビディエンスをしているペアは、すぐに見抜かれてしまうそうです。オビディエンスとはトレーニングを通じて飼い主が犬への理解を深める過程に醍醐味があるのだと思います。厳しさは不要ですよね。
犬は常に学んでいます。トレーニングを開始するのに遅すぎるということはありません。新しいことを犬と一緒に試してみるのは、あなたにも犬にも刺激になってきっと楽しいと思いますよ。
そんな楽しさを知っていただくため、2022年9月9日に「オビディエンストレーニング:行動形成の基本」というセミナーが開催されます。当日は、田中雅織先生による講義と、元田洋平先生による実技があります。ドッグビヘイビアリストによる、オビディエンストレーニングって興味ないですか?私はとってもあります。楽しみです!
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