長時間離れていた飼い主との再会で,犬の涙の量が増大したという研究
犬のうれしょんはよく聞く話ですよね。
飼い主の帰宅時に、迎えてくれた犬が顔を激しく舐めたり、尻尾がちぎれそうなくらい激しく振ったり。疲れて帰宅した犬のそういった愛情表現に、癒されることがあります。というは毎回癒されます。
そんな、愛犬の行動に、「わたしとの再会を喜んでくれているに違いない!」と信じている人間たち。
どうやら、犬は本当に飼い主との再会を喜んでいるらしい、ということを科学的に示した論文が、2022年に麻布大の菊水健史先生の研究チームよって発表されたことをご存知でしょうか。
研究では、18頭の犬を対象に行われました。
犬と飼い主とを5〜7時間隔離し、その後に再会させます。飼い主と離れる前に涙の量を測定し、再会した時にも涙の量を測定します。そして離れる前と再会した時の涙の量を比較します。結果は、再会した時の涙の量が1割ほど増えていました。
他人ではどうなのか!ということで、同じように見知らぬ人同じようなことをしてみました。そうしたところ、なんと、涙の量は増加していませんでした。
研究チームは、この涙の量が増えるという現象は、オキシトシン(しあわせホルモン)と関連しているのではないかと考え、犬の目にオキシトシンを点眼してみました。
すると、オキシトシンの点眼で犬の涙の量が増えました。このことから、飼い主との再会で涙の量が増えたのは、オキシトシンによる反応だと考えられました。
オキシトシンは、「しあわせホルモン」とか「愛情ホルモン」と言われたりするホルモンで、絆・愛情といったものをつかさどります。犬と飼い主との「絆」の形成にとても重要な役割を担っていることは、これまでの研究で知られています。
また、人工的な涙を点眼してうるうるした目の犬の写真を見た飼い主に見せたところ、より「お世話をしたい」「触りたい」といった感情を持ったということも、この研究を通して示されています。
研究チームは、犬が飼い主との再会を喜び、涙の量を増やす。その姿を見て、飼い主は犬を愛しいと思い、犬を大事にしようと思う...そうやって、長い共生の歴史の中で、犬と人は、絆を深めてきたのではないかと考えていると述べています。
この研究は、愛犬をより愛おしく感じさせてくれる研究だと思いませんか?
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参考文献
Increase of tear volume in dogs after reunion with owners is mediated by oxytocin.
Current Biology vol.32, issue16, p869-870. 2022
DOI: 10.1016/j.cub.2022.07.031.
麻布大学 プレスリリース
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